四十肩・五十肩

四十肩・五十肩の正式名は「肩関節周囲炎」であり、肩まわりの筋肉や関節包などに炎症が起きた状態とされます。
40代、50代の方に多いため四十肩・五十肩と呼ばれています。

 

【肩こりとの違い】

肩こりは筋肉に疲労が溜まり、首や肩、背中のまわりに重だるさや、はり感を生じた状態になります。
四十肩・五十肩のような炎症や動かした際の激痛などは、肩こりではとくに生じません。

 

【四十肩・五十肩の主な原因】

四十肩・五十肩の明確なメカニズムは分かっていません。
しかし、次のような要因が重なることで、炎症に繋がると考えられています。

●加齢

加齢にともなって肩まわりの組織が変性してきます。
硬くなったり、弱くなったりした筋肉や腱が日常生活動作で損傷し、突然の炎症に繋がると言われています。

 

●血行不良

血行が悪化すると、損傷した組織への酸素や栄養の運搬が滞り、炎症が起こりやすくなります。
運動不足や長時間の同一姿勢などが、血流が悪くなる要因に挙げられます。

 

●柔軟性の低下

関節が硬くなっている場合、同じ動作でも関節周辺の組織にストレスがかかり、痛めやすくなります。
加齢に加えて、猫背のような不良姿勢でも柔軟性が低下してきます。

 

●肩の使いすぎ

スポーツや肉体労働で肩をよく動かしている方は、四十肩・五十肩のリスクが高くなっています。
腱板（肩周辺のインナーマッスル）が消耗している状態に、加齢による変性が加わり、炎症へと繋がりやすくなります。

 

【四十肩・五十肩の症状】

個人差はありますが、時期によって症状が変化してきます。

●急性期

肩から腕にかけて激しい痛みがあります。
安静時も痛みがあり、とくに夜間になると痛みが悪化する「夜間痛」が急性期の特徴的な症状です。

 

●拘縮期

激しい痛みから、突っ張ったような痛みに移行してきます。
筋肉の拘縮によって、腕をあげる動作や腕を後ろに回す動作が制限されやすいです。

 

●回復期

回復期では、痛みや可動域制限が正常の状態にまで回復してきます。

四十肩・五十肩の症状は、数ヶ月〜1年ほどと長期に及ぶケースが多くなっています。
しかし対処法を間違えたり、放置したりした場合は、より痛みを長引かせる可能性があります。

急性期、拘縮期、回復期と状態に合わせてケアしていくことが大切です。

 

【急性期の対処法】

●安静

炎症を悪化させる可能性があるため、痛みのある動作はなるべく避けてください。
「ベルトやポケットに指をかける」「クッションに腕を乗せる」といった対策にて、肩にかかる負担を軽減できます。

 

●冷やす

氷水や濡れタオルなどを当てて冷やすと、肩まわりの炎症が落ち着く場合があります。
また消炎鎮痛剤の含まれた湿布も、急性期の痛みに効果的です。

 

【拘縮期の対処法】

●温める

筋肉が硬くならないよう、蒸しタオルやカイロなどを当てて、肩まわりを温めるようにしましょう。
また、湯船にゆっくり浸かることでも、肩まわりの循環を促せます。

 

●できる範囲で動かす

拘縮期でも痛みはしばらく残りますが、安静にしすぎると可動域の制限が取りづらくなります。
日常生活では、可能な範囲で肩を動かすようにしてください。
また、シャワー後やお風呂上がりなどにストレッチを行い、柔軟性を高めるようにしましょう。

 

【回復期の対処法】

回復期では、日常生活には支障がない程度まで痛みや拘縮は回復してきます。
しかし、腕のつっぱり感が残る場合もあるため、引き続きストレッチを行うようにしましょう。

 

【四十肩・五十肩の予防法】

四十肩・五十肩は再発する可能性があります。
予防もしっかりと行うようにしましょう。

 

●ストレッチ・入浴

肩まわりのストレッチを習慣にして、柔軟性を維持しておきましょう。
また、筋肉の緊張が強い場合は、ゆっくりと湯船に浸かることもおすすめです。

 

●適度な運動

運動不足では、肩まわりの血行や柔軟性が低下してきます。
ウォーキングやジョギング、ラジオ体操など、適度な運動を習慣にしましょう。

当院では肩を施術させていただく上で、関節内のエコー検査、理学検査、筋力テスト、姿勢検査を総合的なカウンセリングを行い、必要な施術方法をアプローチさせていただきます。

四十肩・五十肩は、状態によっては炎症期による強い痛みや腫れ、熱感が患部にみられることがあります。
この時期にやみくもに肩を動かすような刺激を与えると、かえって症状が悪化し長引く可能性も考えられるため、慎重に見ていきます。
ひと昔前は、「よく肩を動かせ」と伝える事が多く、今も一部では言われてますがその考え方は見直されてきています。

炎症期であれば、患部の安静を図るために包帯やテーピングなどでのサポート、炎症を早期に落ち着かせるためのハイボルト療法を実施することが多くあります。

炎症消失までに至ったあとは、姿勢改善と運動療法、EMSなどを組み合わせてリハビリ・機能回復をして行きます。
肩の痛みに対しての予防体操なども伝えさせていただき、再発防止に対してもアドバイスさせて頂いております。