打撲

打撲は「打ち身」とも呼ばれ、身体を強くぶつけることで生じるケガです。
皮膚を破ることなく、筋肉や血管、脂肪といった皮下組織を損傷した状態とされます。

 

【打撲のおもな症状】

●痛み・熱感

軽度の打撲であれば、ぶつけた箇所を押すと軽く痛む程度です。
しかし中度以上の打撲の場合は、患部周辺に炎症が起き熱感を持つことがあります。

 

●腫れ

血管損傷による内出血や炎症によって、患部が紫色に腫れてくることがあります。
痛みや腫れは、時間が経過してから発症するケースが多くなっています。

 

●たんこぶ

頭部を打撲した場合、皮膚下に血液が溜まってポッコリと腫れるたんこぶができることがあります。

 

●動作制限

筋線維を激しく損傷している場合、筋収縮を起こせないために運動が制限されることがあります。
打撲によって筋線維を損傷した状態を「筋挫傷」と呼びます。

 

【要注意の打撲】

通常の打撲であれば、1週間〜数週間ほどで痛みや腫れは引いてきます。
しかし、中には重度の打撲もあります。

●骨折

打撲だと思っていたものが、骨折だったというケースも少なくありません。
痛みや腫れが激しい場合は、骨折と考えて処置する必要があります。

 

●内臓損傷

腹部を強く打撲した場合は、内臓を損傷する可能性があります。
受傷後に吐き気や嘔吐などがあれば、内臓損傷が疑われます。

 

●脳の損傷

頭を強く打ち、脳を損傷する場合もあります。
意識障害やめまい、けいれんといった症状には注意が必要です。

 

【打撲の原因】

打撲は、スポーツ中はもちろん日常生活でも身近に起こり得るケガです。

・コンタクトスポーツでの激しい接触
・運動中、日常生活中の転倒や転落
・交通事故
・家具にぶつかる
・足の上に物を落とす
・ドアに指を挟む
など

打撲が発生するのは、上記のような状況が挙げられます。

外傷の応急処置としては「RICE処置」が有効とされます。
炎症や内出血を広げないよう、なるべく素早い対処を心がけてください。

 

【RICE処置】

●Rest（安静）

負傷後は、安易に動かすと症状が悪化する可能性があります。

そのため、椅子や床などに座ったり横になったりして、患部を動かさないようにしましょう。

また、テーピングや包帯などで固定すると、安静を保ちやすくなります。

 

●Icing（冷却）

受傷後は、患部をしっかりアイシングしましょう。

アイシングすることで、腫れや炎症の抑制が目指せます。

具体的な方法としては、氷を氷のうやビニール袋に入れて患部にあてて、20〜30分ほど冷やします。

そして、感覚がなくなってきたら一度外して30分くらい休ませ、再び氷を当てて冷やします。

痛めてから数日は1日に2～3回繰り返し、4日目ごろからは、1日に1～2回と徐々に冷やす回数を減らしていきましょう。

 

●Compression（圧迫）

包帯やバンテージ、タオルなどを巻いて、患部に適度な圧迫を加えます。

患部を圧迫することで、皮下出血や腫脹を軽減する効果が期待できます。

圧迫している際、指先などに変色やしびれが生じたら、すぐに緩めて、血行が正常に戻ったら再び圧迫するようにしましょう。

 

●Elevation（挙上）

患部を心臓よりも高い位置に挙げておきます。

挙上によって、腫れや内出血を抑制する効果が期待できます。

 

【慢性期の対処法】

痛みや腫れが引いてきたら、ホットパックや入浴などによって身体を温めてください。
血流を促すことで、患部に酸素や栄養素が運搬されやすくなります。
また、できる範囲でストレッチを行い、患部の柔軟性を回復させていきましょう。

 

【医療機関で検査を受ける】

「振動するだけで患部に痛みが響く」「飛び上がるほどの痛みがピンポイントである」といった症状がみられる場合は、骨折が疑われます。
医療機関で検査を受けて、適切な処置を受けるようにしてください。

また、自己判断でリハビリを行うと再負傷する可能性があるため、接骨院・整骨院など専門家に相談することをおすすめします。

 

【打撲の予防法】

打撲は突発的に起こるケースが多いため、完全に防ぐことは難しくなっています。
しかし、「ヘルメットやレガースなど防具を身に付ける」「無理な接触を避ける」「転倒防止のために体幹の筋力やバランス感覚を鍛えておく」といった対策によって、打撲のリスクを軽減できます。