更年期障害

閉経前後の5年間、45歳〜55歳あたりの時期を更年期と呼びます。
この時期に起こる心や身体の不調が「更年期障害」です。
更年期にさまざまな不具合を生じるのは、自律神経の乱れがおもに考えられています。

 

【更年期障害のおもな原因】

女性は閉経にともなって卵巣の機能が低下し、女性ホルモンの分泌量が大きく減少します。
すると体内のホルモン量を調整するために脳が指令を出しますが、卵巣からは女性ホルモンが十分に分泌されません。

その結果、ホルモン調整の指令を出し続けることが脳へのストレスとなり、自律神経の乱れに繋がると考えられます。
ホルモンの分泌に関係している脳の視床下部は、自律神経の中枢部位でもあります。

 

【更年期障害の特徴的な症状】

ホットフラッシュとも呼ばれる「顔のほてり」や「のぼせ」「発汗」などが、更年期障害の特徴的な症状です。
循環や体温を調整する機能に狂いが生じることで、これらのような症状が現れると考えられます。

その他にも、さまざまな早期症状（更年期障害の初期からみられる症状）と遅発症状（時間が経ってからみられる症状）があります。

 

●早期症状

・めまい
・動悸、胸が締め付けられるような感じ
・頭痛、肩こり、腰や背中の痛み
・関節の痛み
・冷え
・しびれ
・疲れやすさ
・気分の落ち込み、意欲の低下
・イライラ、情緒不安定
・不眠
など

 

●遅発症状

・尿漏れ
・性器のかゆみ、性交時痛
・皮膚の乾燥　
など

 

【男性や若年層の更年期障害】

男性も中年期に入ると、男性ホルモンの分泌低下から「疲労感・倦怠感」「動悸・息切れ」「意欲の低下」など、更年期障害の症状がみられることがあります。

しかし、女性と比較すると男性ホルモンの分泌低下は穏やかであるため、症状は軽めになるケースが多いようです。

また若い方では、ストレスや不眠、過度なダイエットなどから女性ホルモンのバランスが崩れ、若年層の更年期障害を発症する可能性があります。

更年期障害では、自律神経の乱れから精神的にも肉体的にもつらい時期が続きやすくなっています。
日常生活で行える対処法を取り入れながら、上手に更年期障害と付き合っていくことが大切です。

 

【更年期障害の改善方法】

●腸内環境を整える

腸内環境を良くすると、自律神経のバランスも調整されてくることが分かっています。
腸内環境を整えるためには、次の食品を積極的に摂取しましょう。

・善玉菌を増やす発酵食品

納豆、キムチ、ヨーグルト、ぬか漬けなど

 

・善玉菌のエサとなるオリゴ糖

バナナ、ニンニク、玉ねぎ、とうもろこしなど

 

また、女性の方は大豆製品を摂ることがおすすめです。
大豆に含まれるイソフラボンには、女性ホルモンと似た作用があると言われています。

 

●適度な運動

更年期障害の改善には、有酸素運動が効果的とされます。
適度な運動がストレスの発散になるとともに、呼吸や循環機能を鍛えることで、息切れや動悸の緩和にも繋がってきます。

 

●筋力トレーニング（男性）

筋力トレーニングによって、男性ホルモンの分泌が促されます。
スクワットをはじめ、階段の上り下りや早歩きなど、負荷の強い運動を積極的に取り入れましょう。

 

●規則正しい生活をする

生活リズムの乱れは、自律神経のバランスを崩す要因となります。
寝る時間と起きる時間をなるべく一定にして、規則正しい生活を送るようにしてください。

 

●しっかり寝るようにする

睡眠不足は自律神経を乱してしまうため、毎日7時間以上は寝ることをおすすめします。
また「寝る前はスマホやパソコンを見ない」「寝る90分前に入浴で身体を温める」といった対策によって、睡眠の質を高められます。

 

●ストレスを発散する

映画鑑賞をする、公園の中を散歩する、友達とお出かけをするなど、ストレスをこまめに発散するようにしましょう。
ストレスの蓄積は、自律神経の乱れを生んでしまいます。