捻挫・腱炎・腱鞘炎

「捻挫」と「腱炎・腱鞘炎」はともに関節に起こる痛みになります。
それぞれの受傷原因や症状について確認していきましょう。

 

【捻挫】

捻挫とは、関節を強くひねることで靭帯や腱などを痛めてしまった状態を言います。
関節であればどこでも起こる可能性はありますが、体重を支えている「足関節」の捻挫がとくに多くなっています。
また球技スポーツで多い突き指も指の捻挫に含まれます。

「スポーツ中にバランスを崩して足首をひねる」「段差を踏み外して足をくじく」といった受傷原因が挙げられます。

●捻挫の症状

関節周辺の腫れや痛みが主な症状です。
内出血によって皮下出血斑がみられる場合もあります。

軽度の捻挫であれば、機能障害は少ないとされます。
しかし、靭帯の断裂がともなう場合は関節がグラグラと不安定な状態になり、手術が必要になることもあります。

 

【腱炎】

筋肉と骨をつなぐ繊維状の組織のことを「腱」と言います。
スポーツや日常生活での使いすぎによって腱に炎症を起こした状態が腱炎です。

長距離の歩行やランニングなどによる「アキレス腱炎」、野球の投球練習やバレーのアタックなど肩の酷使による「肩腱板炎」などが腱炎の代表例です。

 

●腱炎の症状

炎症を起こしている腱に圧痛があり、また関節を動かした際にも痛みが誘発されます。

 

【腱鞘炎】

腱鞘炎とは、腱を包み込んでいる「腱鞘（けんしょう）」に炎症を起こした状態になります。
腱鞘のトンネルをひも状の腱が通過している形になっており、繰り返し関節を使うことで腱鞘と腱がこすれ合い炎症が起こると考えられています。

腱鞘炎の多くは、手首や手の指に生じます。
スポーツによる使いすぎをはじめ「長時間のパソコンやスマホの操作」「家事や育児」「楽器の演奏」などが、腱鞘炎の主な原因に挙げられます。

 

●腱鞘炎の症状

手首の親指側や指の関節部分に圧痛や運動痛がみられます。
また、炎症が強く出ている場合は腱鞘が腫れてきて、指の動かしにくさや引っかかりに繋がることもあります。

産後の女性は、ホルモンバランスの乱れで腱鞘が腫れやすくなっています。
とくに初産の方は赤ちゃんの抱っこに慣れていないために腱鞘炎が多く「初産腱鞘炎」という名前もつけられています。

捻挫・腱炎・腱鞘炎に対しては、他の外傷と同様に「RICE処置」が重要になります。
痛みを悪化させないよう、早めに対処を始めましょう。

 

【RICE処置】

●Rest（安静）

負傷後は、安易に動かすと症状が悪化する可能性があります。

そのため、椅子や床などに座ったり横になったりして、患部を動かさないようにしましょう。

また、テーピングや包帯などで固定すると、安静を保ちやすくなります。

 

●Icing（冷却）

受傷後は、患部をしっかりアイシングしましょう。

アイシングすることで、腫れや炎症の抑制が目指せます。

具体的な方法としては、氷を氷のうやビニール袋に入れて患部にあてて、20〜30分ほど冷やします。

そして、感覚がなくなってきたら一度外して30分くらい休ませ、再び氷を当てて冷やします。

痛めてから数日は1日に2～3回繰り返し、4日目ごろからは、1日に1～2回と徐々に冷やす回数を減らしていきましょう。

 

●Compression（圧迫）

包帯やバンテージ、タオルなどを巻いて、患部に適度な圧迫を加えます。

患部を圧迫することで、皮下出血や腫脹を軽減する効果が期待できます。

圧迫している際、指先などに変色やしびれが生じたら、すぐに緩めて、血行が正常に戻ったら再び圧迫するようにしましょう。

 

●Elevation（挙上）

患部を心臓よりも高い位置に挙げておきます。

挙上によって、腫れや内出血を抑制する効果が期待できます。

 

【慢性期の対処法】

炎症が落ち着いてきたら、ホットパックや入浴などによって患部を温めてください。
血流を促すことで、損傷した部位に酸素や栄養素が運搬されやすくなります。
また、痛みの出ない範囲でストレッチを行い、柔軟性を徐々に高めていきます。

 

【捻挫の予防法】

テーピングやサポーターなどで関節の動きを制限しておくと、捻挫の防止が期待できます。
とくに一度捻挫した方は関節がゆるくなりやすいため、運動中は関節を固定しておくと安心です。

 

【腱炎・腱鞘炎の予防法】

仕事や家事の途中に休憩を入れて、こまめに手を休ませるようにしましょう。
休憩中には、手首を反らせたり、手のひら側に曲げたりするストレッチで、前腕部分の緊張をゆるめてください。

当院では捻挫や腱鞘炎といった関節中心の痛みに対して、包帯固定やテーピングなどの固定療法でサポートいたします。
痛みの強い期間である炎症期には安静と固定療法が基本ですが、安静期間によって関節が拘縮し、本来の関節運動機能、神経伝達機能が衰えてしまいます。
また、関節を動かす筋肉も硬くなっていきます。

そのため固定・リハビリ期間中は患者さんの身体状態の経過に合わせて施術内容を変えていくことを心がけております。
関節調整、筋膜リリース、ハイボルト療法などを用いて患者さん一人ひとりに合う施術をご提案させていただきます。